本委員会は歴史が古く精密工学会の専門委員会として1968年 11月に設立し、50年以上の歴史を持ちます。極限の精度を目指す超精密加工分野は、常に時代の最先端を走ってきました。設立当初は1970年代は機械加工の高精度化、工作機械の発展が加工精度向上を担いました。20世紀後半からは、化学反応を利用した原子単位の超精密加工が開発され、21世紀に入る前に除去単位は極限の原子オーダに達しました。
そうした極限精度の加工技術は、特に短波長であるX線、EUV領域の光学素子に展開され、放射光施設のX線ミラーやEUVリソグラフィのミラーの製造に不可欠となっています。半導体分野においては、シリコンに限らず、SiCやGaN、ダイヤモンドに至るまで、様々な材料開発に伴って、原子オーダの平滑性が可能な超高速平坦化技術が開発されました。最近では、天文用自由曲面ミラーや高強度レーザー用ミラー、超精密金型の製造において、寸法、形状、粗さとも極めて高い精度が求められ、超精密加工技術はさらに重要度が増しています。
本委員会は、2025年2月に新しい体制となりました。これまでの長い歴史における本委員会の財産を活かすとともに、寸法はナノ精度、形状はピコ精度、粗さは原子レベル を合言葉に、新しい原理に基づく最先端の加工技術や形状計測技術だけでなく、最新のAI・ロボット技術の導入も視野にいれた新しい超精密加工プロセスについても議論してきます。また、X線・EUV光学分野など、超精密加工技術が必須の分野の動向を把握し、我が国の超精密加工分野の方向性についても議論していきます。さらに、本委員会では、昨今の人材育成に関する問題の解決も正面から取り組んでいきます。
2025年 6月 精密工学会 超精密加工専門委員会委員長 三村秀和
・定例研究会 (年3回程度)
・精密工学会春季秋季大会学術講演会でのオーガナイズドセッションの開催
・国際会議XOPT (International Conference on X-ray Optics and Applications)の開催(共催)(毎年4月)
・各種講演会・見学会の開催